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そして、逆にそう問い返されてしまう。
「まあ……驚きはしましたよ」
正直に、言えば。
「ついこの間出会ったばっかりの、自分を悪く言っていた男と、弟が睦み合っていたんだから」
「ま、まあ……セアドはずっと、シルファに会いたがっていたみたいだかな」
「そうなんですか?」
「父に黙って会いに行ったこともあったみたいだが、その度に、父がシーファに酷いことを言ったみたいでな。そのうち、行かなくなったが」
思わず、『器の狭い男だこと』と、ミルの言葉をシルフィは言いそうになったが、それは止めた。
しかしどうやら目の前にいる男も、同じことを感じていたようである。
「我が父ながら、度量がないとは思うが」
ため息と共に、そう言った。
シルフィもそれに心の中では頷きながら、別のことを聞いた。
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