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 そしてそこから少し離れた大きめの岩の上に、持ってきた父が生前着ていた衣と、体を簡単に拭くために持ってきた枯れ草で編んだ敷布を置いた。  獣の皮で作った衣は、水に濡れると縮んだりしわになったりして痛んでしまう。  しかし、体液を拭った部分は汚れているので、水で軽く流す必要があった。  シルファは着ていた衣を脱ぐと、そのまま衣が濡れないように気をつけながら、流れている水の中に座り込んだ。  今はまだ、雪解けの水が流れているこの川は、座り込むと、下半身がちょうど沈み込むぐらいのかさがある。  だが、これから暑い季節になり、雨が降らない日が続けば、たちまち干上がってしまうのだ。  その時のためにも、湖畔の部族との協力は必要なのだ。  ふと、そこまで考えた時だった。  シルファの脳裏に、炎の色をした髪を持つ男の姿が浮かんだ。  それと同時に今朝見た夢を思い出す。
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