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 敏感な場所を刺激する、濡れた感触。  そこから生み出される感覚と、自分のあげる声。 「よう、シルファ」  はっとなった瞬間、持っていた衣が手から離れて、川の流れに乗っていく。 「あっ!」 「何をしているんだ、お前は」  声をかけてきたのは、ヤヌスだった。  突然現れたように思える幼馴染は、川の中央に立っていて、釣りの道具を持っていない反対側の手で、流れている衣を拾い上げてくれた。 「ありがとう、ヤヌス」 「こんな朝早くから、水浴びか?」  ざばざばと水飛沫を上げながら、ヤヌスはシルファの方に近づいてきた。 「う、うん。ちょっと体が汚れたから」  ほれ、と差し出された衣を、立ち上がりながら受け取り、シルファは川から上がった。 「なんだ、もう上がるのか?」 「う、うん。ほ、ほら、濡れた衣も乾かさないといけないしね」
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