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「花魁こそ、お忘れじゃあござんせんか?」
その瞳を、言葉を、独り占めにして、新造は嬉しそうに、幸せそうに笑う。
「その死神太夫を死神太夫に至らしめている根本こそが、わっちであることを」
新造の細い指が、そっと自身が纏う豪奢な帯に触れる。
そこに手挟まれた短刀が、常に男達の血にまみれて金気臭いにおいを纏っていることを、花魁は知っている。
「花魁を手に入れるためならば……
……どんな代償も、怖くなんてありんせん」
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