忘れられない、言ノ葉

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***** 昔から、鈍臭かった私 いじめっ子達からみれば、格好の餌食だったに違いない 『ふぇ、ふぇーん』 『やーい、泣き虫りのー!』 『かえしてよぉ』 『おまえのものはおれのものだ』 いつもいつも、髪引っ張られたり、リボンとられたり 虐められてばかりいた幼稚園時代 いつも泣いていた気がする。 でも、そんな私にもヒーローはいた。 『おい!』 『げ、ひろしだ』 『りののリボンかえせ!』 『っ』 うずくまっていた私にはよくわからなかったけれど、ひーくんはいつもいじめっ子から取り返してくれていた。 『ん』 『ひーくん、ひっく、ありがとぉ』 『そんなふうになくからいじめられるんだよ』 『ふぇ、』 ひーくんは、私のヒーローで。 そういう風に怒られるのが、とても悲しかった。 ひーくんはヒーローだけど、とても口が悪かったから。
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