242人が本棚に入れています
本棚に追加
「これこのまま着てってもいいですか?」
「え?」
「はいかしこまりました。只今タグをお切りします。」
「こっちも一緒に会計で」
指差すのは持ってきてもらった服の山。
「はい」
店員も嬉しそうに笑っている。
「ひーくん・・・」
「あ?」
落ち着かなそうにするりの
忙しなく揺れる瞳
右手はひっきりなしに左の手首を擦る
今着てるボレロは、寒くなさそうだけど手首が出ている
左の、手首が。
目立つ傷ではない
でも、りのにとっては大きな傷
俺の、罪
左の手を俺の手で掴む
恋人繋ぎをすれば、誰にも傷は見えない。
「あ、靴も買わねーと変だな」
「靴まで買うの?」
「ん、サイズは?」
「SかM、えと、24センチだけど・・・」
店員は俺らがかなり買うと見込んだのか
色んな靴を持ってくる。
そのほとんどを買った。
今までの服も靴も、捨てさせねーと。
もう隠す必要はねーんだから。
最初のコメントを投稿しよう!