忘れられない、言ノ葉

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私の家の家業が、変だって 皆が言い始めたのは小学校の高学年の頃 『お母さんが、りのちゃんと仲良くするなって言ってた』 皆が皆、申し訳なさそうに目線を下げながらそう言ってきた。 私は理由が分かんなくて 『なんで?私、何かした?』 『・・・りのちゃんのお家、いけないお仕事だからって・・・ ごめんね?』 『まって!』 そう言ったのに、誰も待ってくれなかった。 私は訳が分かんなくて、校庭の片隅で泣いていた。 寂しくて、悲しくて... そんな時、やっぱりそばにいてくれたのはひーくんだった。 『・・・』 ひーくんは何も、なにも言わなかった。 ただ、私のそばで、一緒に座ってくれた。 夕日が沈むまで、沈んでも すっかり日の落ちた通学路を、手を繋いであるいてくれた。 帰りが遅くなって、怒ってたお母さんたちに 一緒に怒られてくれた 淡い想いが、どんどん明確になっていった。
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