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そして、中3
俺は親父の転勤で隣の県に引っ越すことになった。
りのに言おう
言わないと。
それで、"好きだ"って。
"俺と遠恋してくれ"って
そう思うのに
臆病なココロはそれを実行に移さなかった
だって、何て言えばいい?
"あのときはごめん"?
まだりののいじめは続いてるのに?
りのは、俺を嫌いになったんじゃないか?
誰だって、あんなこと言われれば傷つく。
あぁ、なんであの日すぐに謝らなかったんだろう。
すぐに、噂を否定しなかったんだろう
"りのは俺の彼女だ"
そう声を大にして言えば良かった。
噂されても、なんでも
大事なものを失うくらいなら、恥なんてどうでも良かったのに
だって、君の笑顔を思い出したいのに
もうそれは遠い記憶で
朧気にしか、思い浮かばないんだ。
俺は、結局りのに言わずに転校した。
"俺が居なくなれば噂もなくなる"と、そう言い訳をして。
ーー・・・結局あの後もりのは一人でいじめに耐えたのだと
知ったのはおろかにも二十歳の同窓会で、だった
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