ブンタンサバネタ

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清吾の叫びも虚しく、島民は次々岬から身投げ自殺。 その数、1万。 「なんで!なんで!」 「民間人が、自殺しなきゃならないんだ!」 清吾も、生きて帰る事を諦め、タポッチョ山の麓に戻り、まだゲリラ戦を展開している大場 栄大尉率いる小隊に合流。 大場隊は、狡猾に敵を欺き戦闘を続け、敵部隊からもフォックスと呼ばれる様に。 大場隊は、終戦を迎えた事も知らずに、ゲリラ戦を。 1945年11月27日、連隊長天羽少将の正式な降伏命令を受け、翌12月1日大場隊は降伏。 その時、清吾の脳裏に田村先生の言葉が。 「戦後の復興に力尽くすのですよ」 田村先生の言葉を噛み締め、清吾は日本に戻ると、通信課程にて教員免許を習得し、小学校の教師へと。 戦争の惨さ、平和の大切さを未来の世代に託す為。 しかし、世は移り戦後も過去となると、清吾が生死を彷徨ったサイパンも、一大リゾート地へと。 今や、ハネムーンのメッカに。 何不自由ない若者は、置き去りにされ朽ち果てた戦車をバックにピースサイン。 清吾は、つくづく思う。 「あの大戦は、何だったのか?」 完
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