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しかし、日本にとって時代は、悪い方向へと。
中国・ソ連への進出を快く思わないアメリカ・イギリス等は、ABCD包囲網にて、日本を経済封鎖・金融凍結。
益々、日本は孤立化。
とうとう8月、真珠湾攻撃にて日本も第二次世界大戦に参加へと。
田村は、慌てて清吾の家にやって来て
「最悪だ」
「北と南に伸びきった戦線を、資源の無い日本が、どう戦うんだ!」
「この戦は、負ける」
「清吾君も、戦後を見据え復興に役立ってくれ」
しかし、当初戦局は田村の予言を否定するかの、連戦連勝。
ミッドウェイ海戦迄は。
自力に優る英米は、その後猛反撃。
翌年からは、学徒動員迄行っての兵員補充。
日本国内にも、かなり厳しい雰囲気が。
常に憲兵が、住民を監視し、とうとう田村もアカ(共産党員)のレッテルを貼られ、獄死。
これは、清吾には堪えた。
清吾は、妻に
「先生は、アカなんかじゃ無い!
」
「こんな間違いが、まかり通るなんて日本も終わりだ」
妻は、涙混じりに黙って話を聞いていた。
その後、戦局は益々悪化の一途。
兵員補充の為、殆どの男は赤紙によって兵隊へと。
そして、1943年秋清吾23歳の時に赤紙が。
清吾は、浮き足立った。
とうとう、俺にも。
とにかく生きて還る事だけを念じて。
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