深夜

4/10
前へ
/558ページ
次へ
抽象的すぎて、笑い話にもならない。あんな雑な説明で欽田を一発で見分けられるはずもない。それが出来たら超能力者だ。 不安だった。標的(マト)の欽田とボディーガードの佐竹を瞬時見分けることが出来るのか。いや、ボディーガードの佐竹と人違いするならまだいい。全く無関係の一般市民を、欽田組長と見間違えてしまったら。 「指じゃ済まねえよな」 独り言を吐きながら、冷たいアスファルトから右手を離した。そうしてから右手を懐の中へゆっくり差し込んだ。指先が、冷たい鉄の塊に触れた。そのまま鉄の塊を探り、回転弾倉式拳銃コルト四十五口径M1917を握りしめた。
/558ページ

最初のコメントを投稿しよう!

236人が本棚に入れています
本棚に追加