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「明里ちゃんが好きよ。いつも全力で人を愛す明里ちゃんが……大好きよ」
ベットの中、お姉ちゃんは私をぎゅっと抱き締めた。
お風呂上がりの匂い。シャンプーに化粧水に、太陽の下に干されたお洋服の匂い。
全てが暖かくて優しくて、好き。――大好き。
「でもお姉ちゃんも私の元から去るわ。私はやっぱり一人なんだ」
「……そんな事ないわ。明里ちゃんは私の太陽だもの。明里ちゃんが笑うから、皆、皆、嬉しくて太陽の方を向くの。お日様の回りにはお花が溢れてるでしょ? 明里ちゃんが笑顔で無償の愛をくれたから、こうして私も勇気を出せたの」
お姉ちゃんが結婚する人、嫌い。
ボサボサの頭に、おっきな眼鏡。
ダサい私服でヘラヘラ笑うあの男、お姉ちゃんに釣り合わない。
髪を撫でてくれるお姉ちゃんの手が好き。
微笑むと三日月みたいに細くなる瞳も好き。
柔らかい体も、おっとりした声も。
私のために笑ってくれる優しい心も。
「ごめんなさい。明日結婚式だから、おじちゃんとおばちゃんと過ごしたかったはずなのに、私なんか」
「明里ちゃんも私の家族よ」
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