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家族……。
うん。家族はずっと憧れてたよ。欲しかったよ。
でも簡単に壊れちゃうから家族なんて嫌。イヤ。
「全部、欲しかったものを明里ちゃんが自分の子供に渡すんだよ。全部。全部ね」
「私、お姉ちゃんの子供になりたかった」
ぎゅっと抱き締めると、ポロリと涙の音がした。
本当に涙の流れる音が聴こえたの。
優しいハープのような、ピアノの鍵盤の上を滑り落ちるような。
「私も、明里ちゃんみたいな子供、産んでみたかったな……」
ポロポロと泣くお姉ちゃんは、いつもより小さく見えた。
「それでも、こんな私でも結婚したいって。私、嬉しくて。嬉しくて。だから明里ちゃんも幸せが来るって信じて欲しい」
お姉ちゃんの涙は優しくて綺麗。
舌で舐めたら、私への愛情の味がした。
私のために優しい涙を流すお姉ちゃんが好き。
男なんて好きになる事はないだろうけど、お姉ちゃんみたいな優しい人は好き。
優しい人を守れて、安心させる事ができる人に、私はなれるのかな。
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