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「あの、そこの鏡…壊れてない?」
だって、でなかったらおかしい。
『え…?何よ突然、壊れてないわ。ほらね?』
ほらね、とその女性はドレッサーの前に立ち、固定部分を触って確かめた。
その女性はちゃんと映し出されているし、おかしなところは何もない。
じゃあ、これは一体……?
ハッ!と突然、あたしの脳内に一人の名前が浮かび、口にする。
「エリカって…英、エリカ?」
『? 当たり前でしょう。混乱してしまっているのね。問い詰めてしまって、ごめんなさい…もう少し横になっていましょうか』
一瞬怪訝そうな表情をした女性はやはり心配そうにそう言った。あたしはというと、今度は黙って、コクリと小さく頷いた。
それと、ほぼ同時くらいに―――
あたしの脳内に、電流が流れるような―――いいえ。
もっと、稲妻が走ったような衝撃で、先程まで疑問符を付けてきた全ての謎が、解けた。
「ぁ…ぁ…」
その答えはあまりにも恐ろしく、ハッキリと。
そして考えて考えて脳をつかいすぎたことが原因で、あたしの頭はキャパオーバー。
『え、エリカぁ!しっかりして頂戴…エリカぁぁあッ!』
ヒステリックな金切り声を最後に、オールショートしてもう一度あたしは意識を失った。
(―――I'll be back.……)
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