6 茜ちゃん、愛してる

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彼女を上から見下ろしながら、大粒の涙を指ですくう。 「ごめんね?もう逃がしてはあげられないから」 頬に当てたオレの手にそっと自分の手を合わせ、何度も頷く茜ちゃん。 それを取って、手の平に口付けて。 彼女の手をそのまま自分の頬に、くっつけた。 「愛してる。君が思うよりもずっと。好きなんだ」 加奈子たちに言えなかったのは。 そこまでの気持ちじゃ無かったから。 ああ。そうか。 愛しい気持ちが溢れて仕方が無いから、言葉になるんだ。 言いようのない幸福感を抱いて。 泣き続ける彼女を抱きしめ、あやすように背中を撫でるうち、彼女は眠りについた。 ねえ、茜ちゃん。 これからは何度だってこうして眠れるんだね。 伝言板一面に書かれた、『バカ』の文字さえ愛しく思える。 何度だって、好きだっていうよ。 何度でもキスをして。 君が起きたら渡したいものがあるんだ。 気に入ってくれるかな。 卒業のお祝いと、大学生活の虫避けに小さな石の付いたリング。 左手の薬指のモノは、あと数年後。 「茜・・・もう離さないから」 眠る彼女に口付けた---
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