2 茜ちゃんと、オレ

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茜ちゃんは乾いたオレの心に咲いた、一輪の花だ。 二股かけたあげく、他の男の花嫁になる元カノの事で、荒れていた心。 『明日』 駅のうらびれた伝言板に書いた、宛てもない言葉。 明日の続きが見出せなくて。 都会の忙しない日常にも、心が疲弊していた。 その一言を書いたことも忘れかけていたある日、たまたま伝言板に目をやると。 『おでんが食べたい』 可愛らしい文字で、意味不明な事が書いていた。 季節は、夏に入る頃だった。 いくつかのやり取りをして。 いつの間にか、伝言板がひそかな楽しみになってきた時に。 毎夜、決まった時間に決まった回数だけの着信があった。 アドレスを消してはいても、その番号が元カノのモノだと云う事はすぐに分かった。 訳が分からずイライラして。 マリッジブルーなんかクソ喰らえだと、思ってたオレの為に。 『ただの現実逃避!大丈夫!!』 あの伝言板を、どピンクの飾り付けでデコって元気付けてくれた。 お陰で、元カノの謝罪を素直に受け入れて。 どうしようもなく目を逸らしたかった過去に、初めて向き合う事が出来た。
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