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可愛い彼女のメッセージに、緩む口元を押さえられない。
あー。
何だってこんなに可愛いんだ。
『会いたかったの』
仕事で遅く帰宅したオレを、深夜の駅で待っていた彼女。
風呂上がりなのか、やたらに好い匂いを振りまいて。
変な奴に絡まれなかったのかとか。
色んな考えが頭をよぎり、つい彼女を強い口調で責めてしまった。
腕の中で、オレに会いたかったと涙目で語る彼女。
彼女の身体が冷えてるのに気付かなかったら。
オレはあのまま自分の部屋に攫ってしまったと思う。
偉いな。オレの理性。
『蒼吾くんのお部屋に行きたい』
彼女の希望を、のらりくらりかわすオレ。
男の一人暮らしの部屋に行くって言うのが、どう云う意味を持つのかなんて考えもしない。
まっすぐで純真な瞳。
卒業間近とはいえ、まだ高校生の彼女を部屋に上げる訳にはいかない。
茜ちゃん。
オレだって、いつまでも物分かりのいい『お兄さん』なんかじゃ、いられないんだよ?
彼女に嫌われるのが怖くて。
どこか線を引いてしまっている。
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