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家に帰って、ダッシュでベッドに潜り込む。
「茜?デートじゃなかったの?」
ママの心配そうな声がするけれど。
嗚咽が漏れないようにするのが、精いっぱいだった。
しばらくして玄関のチャイムが鳴って。
蒼吾くんがわたしの家を知っている事を、思い出す。
わたしは・・・
蒼吾くんのマンションも、知らない。
何度も遊びに行きたいって言ったのに。
『そのうちにね』
決して家を教えてはくれなかった。
どうして?
あの彼女との思い出が詰まってるから?
彼女に向けていた柔らかく、はにかんだような彼の顔。
わたしだけに向けられていたんじゃ、無かった事を知る。
まだ、好きなのかな?
「~~~っ。他の男の人を選んだクセに」
醜い感情が、口から洩れたその時。
「・・・茜ちゃん?」
ためらいがちな彼の声と、部屋のドアをノックする音。
「茜ちゃん・・・どうしたの?」
大好きな彼の声に、また涙が溢れる。
どうして逃げて来たんだろう。
あれが元カノだなんて、決まったわけじゃないのに。
でも・・・
「茜ちゃん、アイツは・・・」
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