1 蒼吾くんとわたし

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蒼吾くんとは、最寄駅の地下鉄の、うらびれた伝言板を通じて、知り合った。 彼の書いた何気ない一言が、なぜか気になって。 そこにわたしが書き足して。 何度か繰り返すうちに、偶然出会った。 1度目は偶然。 2度目は必然。 じゃあ3度目以降は? わたしの問いに、 『オレは、運命って信じてなかったんだ』 そう言って、柔らかく笑ってくれた彼だった。 煙草の香り。 大人の男のヒトの、香水の香り。 優しい声。 余裕の態度。 全てがカッコよくて。 すぐに夢中になったんだけど。 『受験が終わったら、会ってくれる?』 あの日、蒼吾くんに泣く泣く言ったセリフ。 3年生の、夏休みが終わったところだった。 受験が終わるまで、蒼吾くんとは会わない覚悟で言った、言葉。 わたしの気持ちを組んでくれて、 『うん・・・待つよ。待つのは嫌いじゃないんだ』 柔らかく笑った彼が、そっとおでこにキスしてくれた。 彼がくれたのは、優しいキスと、5カ月後の約束。
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