1 蒼吾くんとわたし

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「茜ちゃん・・・」 わたしの姿を見るなり、サッと顔色を変えて慌てて改札をくぐる。 「まさか一人なの?!」 大股でわたしに近付いて、腕を取って聞いてきた。 「うん・・・驚いた?」 「はあ・・・」 首を傾げて言うわたしに、大きな溜息をついて。 「おいで」 手をつないで歩き出す。 「蒼吾く・・・」 「今何時だと思ってる?」 わたしの方を見もせずに。 「未成年の女の子が居ていい時間じゃない」 厳しい言葉を放つ。 なんで? どうして叱られなくちゃ、いけないの? 会いたかったのに。 蒼吾くんは仕事で忙しいから。 卒業を待つだけのわたしみたいに、自由な時間なんてないから・・・ 「茜ちゃんが駅で待つなら、もう帰るコールしない」 「・・・」 「親御さんには、なんて言って出たの?」 「・・・」 「茜ちゃん?」 返事のないわたしを訝(イブカ)しみ、足を止めて顔を覗き込んできた。 「茜・・・っ」 わたしの顔を見て、蒼吾くんが息を飲む気配がする。 項垂れるわたしの瞳には、零れそうな涙が・・・
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