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「茜ちゃん・・・」
わたしの姿を見るなり、サッと顔色を変えて慌てて改札をくぐる。
「まさか一人なの?!」
大股でわたしに近付いて、腕を取って聞いてきた。
「うん・・・驚いた?」
「はあ・・・」
首を傾げて言うわたしに、大きな溜息をついて。
「おいで」
手をつないで歩き出す。
「蒼吾く・・・」
「今何時だと思ってる?」
わたしの方を見もせずに。
「未成年の女の子が居ていい時間じゃない」
厳しい言葉を放つ。
なんで?
どうして叱られなくちゃ、いけないの?
会いたかったのに。
蒼吾くんは仕事で忙しいから。
卒業を待つだけのわたしみたいに、自由な時間なんてないから・・・
「茜ちゃんが駅で待つなら、もう帰るコールしない」
「・・・」
「親御さんには、なんて言って出たの?」
「・・・」
「茜ちゃん?」
返事のないわたしを訝(イブカ)しみ、足を止めて顔を覗き込んできた。
「茜・・・っ」
わたしの顔を見て、蒼吾くんが息を飲む気配がする。
項垂れるわたしの瞳には、零れそうな涙が・・・
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