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空がゴロゴロならして走るようです。休んではゴロリゴ、ゴゴヴヴ。
もっと高くでトゥインクル、トゥインクルと瞬いている間もどうせだ。
土を踏んでバラタバラタ、そんな具合の太鼓が破れたような音です。
ぱっと暗い合間に合いの手、雨をパチパチ拍手の合奏にして、しきり
いくら土を踏んだとして、パシャンシャと散って弾けて情けないやら。
人だって狐だって、何でも同じなのですから、雨さえ降れば何でも
オパシャンシャ、パシャと惨めになるのは仕方が無いのです。
二匹の狐は、友達なのか兄弟なのか、いえいえ。一緒に住んでます。
奇麗な毛の色だから、雨の中を土塗れになりたくないものですから。
そういう事なら穴から闇夜の雨を見て、降らないぞと思うとたんに、
ゴロリゴ、ゴゴヴヴ、パシャンザアザ。まるでアンコールの催促だなぁ。
そうだねぇ、これでは梅の木は喜んでいるなら、きっといいけれど。
そうだといいよね。きっとそうだといいはず。二匹の狐は湯船にでも、
浸かるかのように、暖かい穴の中へ入ってしまいました。眠っただろう。
梅の香りが好いのは、誰も欲しがるからで、木のある岩はひみつごと。
絵を描く山男が、得意いっぱいで絵を見たくないか、絵をみせるぞ。
こんなですから、小さな山でもズシズシ響くのとがしょっちゅうでも、
雷さまがゴロリゴ走っては、雨たちがザアザと拍手すようではてんでに
誰も絵を見に巣穴からも、覗こうとは思いません。仕方が無いようで
大きな板に描いた、山男の絵は色が溶け流れて、ぐちゃっとなりました。
元から丁寧に高価な筆など買えませんし、少しでも町に頬被りすると
芋だの合羽だのを作っては、売ってお金を貰うと残らずお酒を買います。
絵の具だとか、筆だとかは買えないのですが、紙の代わりにこさえた
板に自分の大きな太い指で、赤土だとか、青い染み石や木の実を潰して
なんだとなんだと言いながら、絵を描くのが大好きだったわけです。
でも、色を分けてくれる、葉っぱや木の皮ばかりでは無いのですから
本当に描きたい色にならなくても辛抱して、何度も消しては描きました。
なので山男の手はいつも、何色かよくわからないのでした。
この雷さまが走っていた夜は、板の絵と一緒に自分の手を洗うと急に
新しく絵が描きたくなって、見て欲しかった気持ちも流れ溶けたので、
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