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雨の拍手が静かになる頃合に、絵の具になるものを探しました。
真夜中なので山の皆は眠っているか、隠れているのが方法ですから、
そんな事、百も承知だと思うごとに、穴ぐらへ手を突っ込んでみては
「おい、いないのか。何か色が奇麗なものはないか。酒を分けるぞ。」
でも、奇麗な木の実やらは美味しいものばかりで、お酒は少しですし
どうにも合わないのも、そういう夜もあるものだなと、山男は少しだけ
がっくりして、座っていました。
穴から雨がを見にきた奇麗な二匹の狐は、とてもぐっちゃりの山男が
可哀想だから、何かあげられないかと相談しました。お酒も貰えるなら、
梅が実を抱えるほどにした時には、美味しいお酒になるじゃないか。
二匹は山男の背中をさすって、色々な木の実だの葉っぱだのを見せて、
好きなのを取ってもいいから、お酒をください。と言うと山男は元気に
立ち上がって、狐さんたちありがとう。それでは、このお酒は全く全部
あげるから、本当に一番奇麗な色でも貰って構わないか。と訊きました。
狐たちは気にせず、お取りなさい。そしたらきっとまた絵が描けます。
でもお酒は頂きますけど、よいのですかと確り確認しておいたのです。
夜中なので山男が眠くなっていて、朝にやはりお酒を返してと言うかと
気にして、そわそわしたからでした。
山男は眠いどころか、金色に目を輝かせていました。それは二匹の狐の
毛の色が瞳に映って、ぴかぴかしていたのです。山男が二匹の狐を撫でて
黄金の色を全部、手に掬ってしまいましたから狐たちは、真っ白です。
奇麗な毛の色をあげてしまったけど、お酒は全部貰えました。それでも
白い狐も本当は、奇麗な白です。これなら梅の木に嫌われたりもしないと
二匹とも思ったのです。山男は何度もお礼を言って、帰って行きました。
梅の香りが好くなる季節が近くなると、二匹の白狐はとても喜びました。
跳ねて躍り上がったりして、大事にしまっておいたお酒を丁寧に出しては
実がなるまで待て酒の種。と何度も歌ってから、梅の木に挨拶しに行こう
そういう事にしようと、真っ白な毛並みで岩向こうへ素早く抜けました。
ところが、梅の木がいた場所は穴ぼこになっていて何もありません。
困ってしまい、近くの木や花に訊いてみました。梅の木はどこでしょうか。
皆が教えてくれた通りに、そうっと静かにバラタバラタ音の鳴らないよう
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