フェティシスト

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   僕が高校に入学した春のこと。  昼休み、友達はいないから、僕はいつもノートに猫の絵を描いていた。可愛く描けた。誰かに見せたいが見せる相手がいない。今度姉に送ろうかな。  そう考えていると、校内放送で先生に呼び出された。  教室中の視線が集まる。僕を見ないでくだらない会話でも続けてろよ。  のろのろと立ち上がり、のろのろと職員室へ向かう。  のろのろ。  のろのろ。  実に億劫だ。  僕はのろのろと扉を開け、のろのろと担任の元に向かう。  
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