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「おお、来たか。」
いつも厳つい顔をしている担任が、妙な表情をしている。
「何かご用でしょうか。」
「落ち着いて聞いてくれ。」
なんだろう?お爺ちゃんでも倒れたのだろうか?僕はとりあえず頷いて見せた。
「お姉さんが亡くなった。今すぐ家に帰れ。」
何故、先生はそんな嘘を吐くのだろう?姉は東京で大学生をしているのに。
「はい。」
僕はのろのろと教室に戻り、鞄を掴んで家に帰る。クラスの奴らが何か話かけてきたが気にしないことにする。
のろのろ。
のろのろ。
猫がいる。
やあ、猫さんこんにちは。今日は先生の嘘に付き合って家に帰るんだ。家に帰ったら姉さんがいて騙されたねって笑ってくれるんだよ。だから今日はこれで帰るね。
猫をなでながら話かけた。
猫はニャーと鳴いて塀に飛び乗り、そのままどこかへ行ってしまった。
僕はのろのろと立ち上がり、家へと急ぐ。
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