フェティシスト

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 姉の通夜は盛況だった。僕とは違って姉は人気者だったから。友人、教師、友人の友人、町内のお爺さんにお婆さん。  何人もの人間が泣いていた。中にはこんな時だけ友達面して泣き真似をしている者もいたが、大抵の人は本当に悲しんでくれていたと思う。  深夜3時を過ぎた頃、一人の男が訪ねてきた。男は僕を見ると近づいて来てこう言った。 「やあ、君が弟くん?僕はタマミさんと交際していたんだよ。僕と彼女は理解し合っていたんだ。君が彼女の弟なら僕の弟も同然だよね。今日から義兄さんと呼んでくれ。」  義兄さんはそう言って胡乱な目で見つめてきた。  
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