フェティシスト

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 姉さんの葬儀が終わり、僕は姉さんの住んでいたアパートの片付けに行った。  家族の都合がつかなかったので僕一人だ。階段を上がり、部屋に入る。  姉さんの部屋は、綺麗に片付いていた。その中から不要な物をゴミ袋に詰めていく。  歯ブラシ、化粧品、目覚まし時計にマグカップ。そういえば、今日は起きて歯を磨いていなかったなぁ。僕は姉さんの歯ブラシを借りて歯を磨く。  シャカシャカ。  シャカシャカ。  姉さんの味がする。姉さんのマグカップで口をゆすぐ。  クチュクチュ。  クチュクチュ。  ゴクン。  姉さんはもういないんだな。そう思うと、ちょっぴり涙が溢れてくる。    
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