第4章 花弁のお茶会

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「こっ、こんにちは」  眼鏡をかけた男子が入ってきた。 優しい声で、私を見て微笑んでくれて。  ……爽やか系。 「幸太朗(こうたろう)、お疲れさーん。ねー、あんた、蝶野ちゃんが生物部に入ったって知ってたー?」 「何それ。僕、聞いてないよ?」  多分、野村先輩と同じ二年生で、この人がもう一人の動物科の先輩だ。 赤い縁の眼鏡にさらり、とした黒髪で、学ランをぴしっ、と着ていて、優等生って感じがする。 「はっ、初めまして。蝶野千草と言います。よろしくお願いします」  私は椅子から立ち上がって、頭を下げながら自己紹介してみた。 「いいよー、そんな畏まらなくても。僕も緊張しちゃうし、座って座って」  そう言っくれたからか、私の緊張も少し和らいだ。
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