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「こっ、こんにちは」
眼鏡をかけた男子が入ってきた。
優しい声で、私を見て微笑んでくれて。
……爽やか系。
「幸太朗(こうたろう)、お疲れさーん。ねー、あんた、蝶野ちゃんが生物部に入ったって知ってたー?」
「何それ。僕、聞いてないよ?」
多分、野村先輩と同じ二年生で、この人がもう一人の動物科の先輩だ。
赤い縁の眼鏡にさらり、とした黒髪で、学ランをぴしっ、と着ていて、優等生って感じがする。
「はっ、初めまして。蝶野千草と言います。よろしくお願いします」
私は椅子から立ち上がって、頭を下げながら自己紹介してみた。
「いいよー、そんな畏まらなくても。僕も緊張しちゃうし、座って座って」
そう言っくれたからか、私の緊張も少し和らいだ。
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