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駅に到着した遼。いつもの場所に自転車を停めようとする。不特定多数並ぶ自転車。いつもの場所が、乱雑に置かれた他の自転車。少し機嫌が悪そうに、乱暴に自転車の間へ突っ込むように自分の自転車を置く。その機嫌の悪さは他の自転車でも、本屋の老人が理由でもなかった。
――あの危ない運転の高級車……あんな運転するなら自転車乗ればいい。
駅に着く前の小さな憤り。ありそうな出来事。遼の進行を妨げた荒い運転がいた。いつもと違う事が重なったからか、駅のホームで電車を待ちながら愚痴る。そしてふと感じる。それは、ざわつく心はストレスからの緊張か、体調の変化は、メンタルの弱さからか。
『なんだか吐き気がするなぁ……え? あぁ、達哉か』
真後ろから遼を呼ぶ声。
『ふぅ、ふぅ、遼! ふぅ……ふぅ……同じ時間珍しいな!』
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