第1章

3/5
前へ
/5ページ
次へ
どれくらい経ったんだろう。 あの入口を飛び出してから。 随分時間が経っている気がする。 目の前が真っ暗で、今どこなのかも 全然わからない。 でもただ一つわかるのは。 体が下に下に落下している感覚だけだ。 もしかしたら私はなにかを 失敗してしまっていて、こんな世界の狭間で一生迷い続けてしまうんだろうか。 そんな事を思っていた時だった。 目の前が急に。色づいた。 パッと。どこかの空間に放り出された。 あたり一面綺麗な青空。 遥か下には小さく建物がたくさん見える。 「やったぁ!!違う世界に来られたんだわ!!」 喜んだ瞬間にガクンッと体が傾く。 重力に従ってまっ逆さまに 自分が落ちているのがわかったのは かなりの距離を落下してからだった。 「きゃあああああああああああ!!」 あ!そうだ。慌てなくても大丈夫! もう少しで地面についてしまう、 という所で私は指をパチンッと鳴らした。 なにかに抱えられるように フワッと体が浮き上がる。 そのままゆっくりと地面に到着して 何事もなく私は地上に降り立った。 ふぅ....危なかった。 「うわ!?なんだお前!?」 え? すぐそばから誰かの声がした。 横を振り向くと、腰でも抜かしたのか 地面にへたりこんでいる男の子がいた。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加