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ーー1ヶ月後。マリアはあの男の子供を妊娠していた。
虚ろな目をして、夕陽を背に窓辺に佇むマリア。
「大丈夫。私があなたを守るって言ったでしょ?この子は、神様からプレゼントしてもらったのよ」
ポロリ、ポロポロと涙を零すマリアを胸に強く抱き寄せた。
RiRiRi…RiRiRi…RiRiRi…
「あら、まだ仕事の電話だわ…」
マリアの艶やかな黒髪にキスをして離れた。
「…もしもし?ーーはい」
今はもう、何も出来なかったあの日の自分とは違う。社会的な地位も仕事も収入もある。
あの男に劣るところなんて一つも見つからない。
電話を片手にダイニングテーブルに置かれたDMを仕分ける手を止めて、ふと窓辺のマリアに目を向けた。
窓辺はキラキラと輝きを放って茜色に染まり、マリアの横顔と胸元でクロスした指先を照らす。
彼女を境にした陰影はまるで一枚の絵画のようだった。
「それでは…。ええ、ありがとう」
ダイニングテーブルにスマホを置いて、夕焼け空を見つめるマリアに近づき背中から抱きしめた。
マリア…
あなたを守るのは私…
私たちのことを馬鹿にした低俗な馬鹿な男はまんまと騙されたことにいつ気づくかしら。
本物の女のマリアではなくーーー
戸籍はオトコのカタチだけのオンナに骨抜きにされてるってことにーーー。
end.
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