第1章 親指族

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 とある小さな国の物語。  ある日の出来事…………、邪悪な黒い雲から生まれた謎の生命体が平和な国へ攻めて来ました。  その雲は自分の住みやすい暗黒の世界へと変え、人々は苦しみました。だが、人々は挫けてはいませんでした。  その国の唯一の希望の光 クリスタルでした。そのクリスタルの力で邪悪な黒い雲は閉じ込められ宮殿へと封印されました。  それから……数百年が経ち、今では国の伝統的なおとぎ話として子供達に話されていました。  だか、国は……何故かまた闇へと呑み込まれてしまいました。希望だったクリスタルの姿もなくなり、人々は絶望したのでした。  クリスタルの行方、その理由を握るのは……この街を今歩いてる彼女しか居ないだろう。 * 「…私とした事が……道に迷ったか? カラクリ職人の店に行きたいのに これは 人に聞くしか有るまいな。」  人々の大根牛蒡の足通り道を華麗に避け抜けては、まわりの景色を一人の少女が辺りを見上げてました。彼女にとっては街はどこにいても動く足の森。 「此処でいいか?」  彼女が見上げた先は 居酒屋――――ではなく、 「はぁ……仕事来ないなぁー仕方ねぇ居酒屋に置いてある隠し酒持ってくるか」 この居酒屋の二階に住む男に用があったのだった。 「酒ちゃ~ん。待ってろよ~」  玄関へと続く廊下道を男は仕事がないことを良いことに少し上機嫌でペタペタと裸足で歩きながら玄関へとすぐに到着。ちょっと年期の入った緑色のサンダルを履きながら玄関戸を開けた。だが、 「おい」 男は立ち止まった。 「え?」  自分の目の前には誰も居ないハズなのに声が聞こえたのだ。だが、またその声は自分に向けて聞こえてきた。 「下だ。お前の真下だ」  男はキョロキョロしながら声を頼りに自分の足元を見たのだった。 「えっ!!?」  男は自分の目を疑った。彼の目の前には自分の親指ぐらいしかない小さな女の子がちょこんと立っていたのだった。髪は桃色のロングストレート。背中には可愛らしい鍵を何故か背負っていた。 「ねぇ? 吃驚してないで私の依頼を聞いてくれない?」  男にそう告げながら、髪を束ねて赤いスカーフをリボンのように括りながら青い瞳を男に向けたのだった。 「……」  男は呆然と立ち尽くし、彼女の言葉を耳から流していた。今の状態を馬の耳に念仏とやらだ。男は麻痺ってる状態なのだった。
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