第1章 親指族

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「え? ピザ??」 「そぅよ、宅配便ピザを頼んでたの ピザ全種類 特大サイズ貴方の名義でね」  メリサはそう告げると机に置いてあるピザの広告のチラシをギンに指差した。 「ちょっ!?? 宅配便ピザって…、意外に高いんだぞっ! あ、でも今からでも電話してキャンセルすれば何とか!!!」  ギンはメリサを横目に急いで電話の受話器を手に取りTELをかけようと番号を押そうとしたが、 「………!」  ギンが後から気付いた時にはもう遅く、ビリっと紙を破く音が耳に聞こえたと思ったら あら、不思議。  見事な紙吹雪の出来上がりって言うぐらい粉々にメリサに破られたピザのチラシがフワァと舞っていました。 「ギャー!!! 何すんの君は! あんまり給料ないのよ 僕ちん!」  粉々なった最早パズルのチラシを床にかき集めギンは焦っていた。チラシにピザ屋の電話番号が書いてあったからだ。 「何よ貴方? ピザぐらい払えるでしょ? それとも何? 貴方が私を触った事許すと思っていたの? 優しい私はピザ何枚かで許してあげようって思ってるのよ?」 「何枚かって何枚じゃないだろっ! 今月の家賃が払えないじゃねぇか」 「あら? なら警察に言ってもいいのよ?」 ニッコリと微笑んでる表とは裏腹に、黒く邪悪そうなオーラの微笑みを 幻聴だろうか。″殺すわよ″っと言いながら ギンの肉眼でも見えるぐらいハッキリとスタンドと想わせる黒メイサの姿があった。別にメリサは スタンド使いではない。 「ひぃっ!? 払いますよ払いますっ!」  渋々と心で泣き心でずぅーんと落ち込んでいた。 「フフ、いい君ね」  ギンの様子を見ては宇佐を晴らせてメリサは機嫌がいい様子でいたのであった。 「「ギンさ~んっ!!!」」 「ん?」  落ち込むギンの元に彼の名を呼ぶ女性の声が二つ階段を昇る音と共に慌ただしく聞こえてきた。 「ギンさん! 天井から落ちたってホント? 私が看病してあげるわ」 「主はホントにドジじゃのぅ……って!!! サツ! 主は大袈裟すぎじゃ!」  部屋に来るなりギャーギャーと二人の女が騒ぎ立てていた。多分ギンの知り合いだろう。サツと呼ばれる一人は、眼鏡をかけたストレートの薄紫色の髪をし、もう一人は煙草を口に加え、ギブソンタックヘアの金髪の女だった。
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