代理犯罪

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 こういう時、  生身の人間ならば泣いたり迷ったりするのだろうが、私などのサイボーグ刑事にはそのようなプログラムは無い。 互いの心臓部に位置する電力補給コードを繋ぎ合わせ、No.11から電力残を受け取る。 No.11にプログラムされていた機能も私のデータベースにコピーされた。  「No.11、君の意志は無駄にはしない」  私は再び全速力で犯罪熱源の追跡を開始した。 No.11と一体化したようだ、以前よりも脚力が向上した。みるみる内に犯罪熱源との距離を縮めて行く。 犯罪熱源がピタリと動きを止めた。  「サイボーグ刑事に告ぐ、追跡を中止せよ。さもなくば、『身投げプログラム』を作動する」  私の体は『身投げプログラム』のキーワードに反応してピタリと止まる。 身投げプログラムを作動した犯罪サイボーグは、爆発を起こす。内蔵されていたURLも消滅する。生身の人間で言う自殺だ。  「サイボーグ刑事、直ちに電磁パルス銃を下ろせ」  自爆されたら任務は失敗に終わる。 仕方ないと私はEMPの銃を地面に投げ捨てる。だが諦めたわけでは無い。 電力残を大量に消費するが、『論理的事実解析プログラム』を作動させる。 『我々サイボーグ刑事はコントロール射程を持たないが、犯罪サイボーグはコントロール射程を有する。コントロール射程外でサイボーグをコントロールする事は不可能。よって犯罪サイボーグがいると言う事はサイボーグのコントローラーが近くに存在する事になる』
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