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「ええ。良い嫁が来てくれて私も嬉しいわ」
エティアが冗談を言うと、しかめっ面だった嵐蔵の顔が少しほころび、俊哉は口元を袖で隠してクスクス笑っている。
「お前はまたそういう言い方して」
「あら、本当のことでしょう?」
カンナの小言もさらりと躱し、微笑むエティアに俊哉が口を挟んだ。
「カンナさんは確かに家事など得意でしょうけど、エティアさんにしか出来ないことあるじゃないですか」
「私にしか出来ないこと?」
「ええ。カンナさんがどんなに頑張っても子供は産めませんからね。そこはエティアさんにやって頂かないと」
「兄さん!」
何を気が早いことを!とカンナが言うもエティアは考え込んでいる。
「そうよね、そこは私が頑張るしかないわね」
「これはお孫さんの顔が見れるの、早そうですね」
俊哉の言葉に嵐蔵も満更でも無さそうな顔で頷いた。
「ところでカンナ、お前は五月の家に戻るつもりは無いのか?先の桜姫の舞台で、ご贔屓さんからはまた出ないのかと催促されているんだが」
嵐蔵の問いに、カンナはとうとう来たかと思っていた。
勘当と言い渡され、ずっと避けていた歌舞伎を頼まれて演じて、自分の中の歌舞伎への想いを再確認した。
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