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なんだ、なんだと思っていると、その女の人は私達が座っているベンチの横まで来て、突然
「怖い話聞きたいですか?」
と聞いてきたんです。
私はわけが分からす、しばらくその女の人の顔を眺めていました。
するとKが
「面白そう!聞きたい、聞きたい!」
と言い出したんです。
すると女の人はしばらく黙り込み
「・・・本当に、怖い話聞きたいですか?」
と。
さすがにおかしいだろと思い、私は
「失礼ですけど、どちら様ですか?」
と聞いたんです。
すると、その女の人は身の上話を始めまして、何でも去年まではこの近くに旦那さんと2人で暮らしていたらしんだけど、最近他界されたと。
近くに身内も友達もいない彼女は、夜ここへ来て若者に怖い話を聞かせるのが唯一の楽しみになったそうなんです。
なんだか可哀想になった私達は彼女の話を聞くことにしました。
話自体はあまり覚えていないんですが、何か時代物の怪談であまり怖くはありませんでした。
結局3話くらい話した後、彼女は「それではごきげんよう。」
と一言言って去って行きました。
残された私達は狐につままれたというか、しばらく無言でお互いの顔を見合わせていました。
「・・・雨、やみましたね・・・」
Tのその一言で、みんな窓の外を見ると、いつの間にか雨は上がっていました。
さて帰ろうかということになり、気になった私はカウンターに座って雑誌を読んでいる店員さんに彼女はちょくちょく来るのかとたずねました。
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