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「!!」
いるんです・・・
後方30メートル位の場所にあの女性が・・・
心臓がドキドキし始めました。
幸い、気づいているのは私だけのようで、下手に怖がらせないようにと黙っておくことにしました。
もう一度、サイドミラーを確認すると、女の人はすでに消えていました。
ほっとしたのもつかの間、
「うわっ!」
とTが突然騒ぎ出しました。
運転席側のサイドミラーに写っているんです、あの女性が・・・
しかも確実に近づいています。
もう車内はパニック寸前に。
しかも彼女は、一瞬目を離すと右側に、もう一度見ると左側という風に、ぴょんぴょんとジャンプしているかのような感じで近づいて来ています。
そしてついに彼女は、車の助手席の真横までやって来ました。
「げひゃひゃひゃひゃ」
彼女は突然笑い出しました。
しかも、腹がよじれるほどと言うか、大声で笑い出しました。
その時、それまで流れていた音楽が急に飛び出し、スピーカーからはその女の人の笑い声が流れはじめたんです。
もう限界でした。
Tは信号が赤にもかかわらず、急発進。
スピーカーから流れる彼女の笑い声は徐々に弱まり、彼女も追いかけては来ません。
結局その後みんな家には帰れず、N市にある24時間営業のファミレスで朝まで過ごしました。
店内で私達は何も話すことは無く、ただ黙って朝を向かえました。
朝、ファミレスから出た私達はまずKを送り、そのままT市に戻り、Yを送った後Tと共に出社しました。
それからしばらくは何も無く、時間は過ぎて行きました。
しかし、あの事件から1週間ほど経ったある日、Tが真っ青な顔をして1枚のCDを会社に持って着ました。
「・・・店長、これあの晩に聞いたダ○スマニアのCDなんですが、おかしいんですよ。ちょっと聞いてもらえませんか?」
そう言われ、会社に置いてある有線にCDをセットする。
そこで気づいたんです。
実はこのCDは僕も持っていて、全14曲のCDなんですね。
でも、Tが持ってきたCDは有線のコンポにセットすると曲数が15に・・・
Tを振り返ると無言で頷く。
私はおそるおそる15曲目を再生してみました。
すると、
「げひゃひゃひゃひゃ」
あの時の女性の笑い声が流れ始めたんです。
私は慌てて停止を押しました。
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