26人が本棚に入れています
本棚に追加
先生の顔を見る。先生は何時もにこやかな顔をしていたのに、今は凄く悲しい表情を隠す様に、無表情な顔をしようとしている。そんな先生を僕は見たくないよ。こんな悲しい顔をさせているのが自分だって言う自覚があるから、僕は今までの感謝の気持ちを込めて、先生に近づいた。
先生は少し下を向いていたけれど、僕の顔をやっと見てくれた。これが最後のお別れだから。自分自身がショックを受けているのも事実、それでも僕は笑顔を作った。それが偽りの笑顔だったとしても。これまでの思いを、自分の口で。
「先生?卑怯な言い方は好きじゃないから、一度だけしか言わないよ?」
思えばこそ、僕は先生にこれからも先生のままで居てほしいから。
「僕自身が至らなかった事は、どうしようもなかった事なんだだけどね、そのどうしようもなかった事を自分一人でやっていたら、僕は途中で投げ出すような弱い人間なんだ。パウンド先生がいたから、だから僕は諦めるという事、逃げる事をしなかった。先生?今まで本当にありがとうございました」
最初のコメントを投稿しよう!