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辺りに破壊音が響き渡る。尋常ではない音だ。
「うっわー…、やってしまったよ。」
目の前に広がっている光景を見て、私は呟く。こんなはずでは…。
完成した魔法がまさかこのような恐ろしいものだとは夢にも思わなかった。
「…うん。これはもう二度と使わないようにしよう。」
「おい、何帰ろうとしてんだセリシア。」
さっきまでに起きたこと全て無かったことにして帰ろうとしたら、不意に声をかけられた。
「いや、まだ晩御飯食べてないし早く帰りたいなーって思ってさ。」
「嘘だろ…人の家粉々にしておいてそのまま帰るとか人間のする行為じゃないぞ…?」
「んー、私の家じゃないだけまだマシだったかな!別に家くらいならすぐ直せるでしょ、キラ。」
「私はお前みたいなウィザードじゃないから無理だ。ただの錬金術師なんだぞ?」
全く五月蝿い隣人だ。錬金術師なら手のひら合わせて家の一つや二つ錬成できるでしょうに。
「仕方ないなー。時間よ、戻れ~。」
懐から一本の短い杖を取り出し、適当な呪文を唱える。
私の指定した範囲だけ時間を戻すことが出来る魔法だ。創り出すの大変でした。
「…相変わらず魔法だけは凄いな、セリシア。」
「誉め言葉として受け取っておくよ。てか、腕取れてるよキラ。」
「あー、後で新しい腕作っとかないとな。面倒だ。」
爆発の衝撃で腕がひしゃげているが、本人からしたら何でもない出来事らしい。
なら家くらい自分で直せよ、と私は思いました。
「とにかく、むやみやたらと魔法使うなよセリシア。いくらここが魔法世界だっていってもな。」
「はーい、分かってるよ。キラも研究は程々にねー。」
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