第1魔

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さて、もう誰にも会わないで家に真っ直ぐ帰りたいんだけどなぁ。 しかしそう上手くはいかないのが人生だ。 「…げ。もっと面倒な人に会っちゃったよ。」 「面倒とは随分な物言いね、セリシア。ちょっとお話していきましょうよ。」 「えぇ…。私早く帰って寝たいんだけど…。」 「いいから付き合いなさい。茶菓子くらい出すわよ?」 む、それなら仕方ないな。タダでお菓子食えるなら悪くない。 「で、最近調子はどう?魔法の研究は順調かしら。」 「んー、まぁまぁかな。新しく創った魔法は暴発してキラの家破壊しちゃったし。」 「相変わらずキラは苦労人ね…。あなたの魔法は強力なんだから扱いには気を付けなさいよね。」 「へーい。アリスも相変わらず口うるさいのは変わってないね。」 「ならもっとウィザードの自覚を持ちなさい。私と並ぶレベルの魔法使いなんだから。」 アリスは魔法使いの中でも頂点に立つとされる、ソーサラーの役職についている。 ソーサラーは元々の素質が無いと名乗れない高位の魔法使いだ。 つまり才能がある人間がなれる魔法使いがこのソーサラーだ。 ウィザードとソーサラーの違いは才能と言っても過言ではない。くぅ、羨ましい。 「努力でウィザードになれる人間なんてそうはいないわ。あなた相当努力したもんね。」 「いやだなぁ、ちょっと頑張っただけだって。」 …だって、あなたに追い付きたかったからね。とは口には出さなかった。 魔法の才能が並だった私には知識を貪るしかなかった。 ま、本当に大したことじゃないんだけどね。 「アリス、また今度勝負しない?勿論魔法の。」 「あら、セリシアから持ち掛けるなんて珍しいわね。いいわ、今度ね。」 余談だが、私はアリスに一度も勝てたことはない。 面倒でお節介なアリスだけど私の密かな憧れでもあった。 「なら、少し研究もしないとね。今日はお開きにしましょ。」 「うん。またね、アリス。」 さーて、今日からまた新しい魔法の研究しないと。 …でも今日は寝よう。疲れた。
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