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さて、もう誰にも会わないで家に真っ直ぐ帰りたいんだけどなぁ。
しかしそう上手くはいかないのが人生だ。
「…げ。もっと面倒な人に会っちゃったよ。」
「面倒とは随分な物言いね、セリシア。ちょっとお話していきましょうよ。」
「えぇ…。私早く帰って寝たいんだけど…。」
「いいから付き合いなさい。茶菓子くらい出すわよ?」
む、それなら仕方ないな。タダでお菓子食えるなら悪くない。
「で、最近調子はどう?魔法の研究は順調かしら。」
「んー、まぁまぁかな。新しく創った魔法は暴発してキラの家破壊しちゃったし。」
「相変わらずキラは苦労人ね…。あなたの魔法は強力なんだから扱いには気を付けなさいよね。」
「へーい。アリスも相変わらず口うるさいのは変わってないね。」
「ならもっとウィザードの自覚を持ちなさい。私と並ぶレベルの魔法使いなんだから。」
アリスは魔法使いの中でも頂点に立つとされる、ソーサラーの役職についている。
ソーサラーは元々の素質が無いと名乗れない高位の魔法使いだ。
つまり才能がある人間がなれる魔法使いがこのソーサラーだ。
ウィザードとソーサラーの違いは才能と言っても過言ではない。くぅ、羨ましい。
「努力でウィザードになれる人間なんてそうはいないわ。あなた相当努力したもんね。」
「いやだなぁ、ちょっと頑張っただけだって。」
…だって、あなたに追い付きたかったからね。とは口には出さなかった。
魔法の才能が並だった私には知識を貪るしかなかった。
ま、本当に大したことじゃないんだけどね。
「アリス、また今度勝負しない?勿論魔法の。」
「あら、セリシアから持ち掛けるなんて珍しいわね。いいわ、今度ね。」
余談だが、私はアリスに一度も勝てたことはない。
面倒でお節介なアリスだけど私の密かな憧れでもあった。
「なら、少し研究もしないとね。今日はお開きにしましょ。」
「うん。またね、アリス。」
さーて、今日からまた新しい魔法の研究しないと。
…でも今日は寝よう。疲れた。
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