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喧騒が止まぬ商店街の通りで俺、鵜飲宵為(うのみ よいな)は散歩をしていた。
特に買う物も無く、大した用も無く、店の手前を通り過ぎる。
暇な日曜だから偶には散歩でもしてみるかと思ったが、やっぱ飽きた。
時間の無駄だったなあ、無意義だったよ、とっとと帰るか。
近道をする為に路地裏に入り、すぐに内心で溜め息。
これはさっきまでの耳障りな喧騒に対してと、目の前の光景に対しての二つの意味で吐いたものだ。
「おいおい、一緒に遊ぶだけだぜ」
「そ~だよぉぉぉん。ほら来いよ~、キモチイイコトしようぜぇ~」
「嫌っ!離してっ!」
思わず思ったさ、なんつーテンプレだってな。
撮影か?って疑ってカメラを探したりしたが、どうやらマジらしい。
状況なんて説明しなくても分かるよな?いや説明すんだけどよ。
ガタイがイイ感じのゴリリンとひょろひょろナナフシの男二人組が美少女(笑)に無理矢理壁ドンしてる。
何て酷い壁ドンだよ、ハッハッハァ!ザマァ!
おっ、女が俺に気付いたな。
「お願いっ!助けて!」
「ンン~?」「ひょ?」
野郎共も俺に気付いたみてぇだな。
てかナナフシ変な声出すな、狂戦士の魂でオーバーキルすんぞコラ。
さて、ここで俺がする事は一つ。
女に下衆な事をしてる野郎共に――――――――。
「いやぁ、イイなぁその女ぁ。あのさ、俺にも後でヤラしてくんねぇかな?周りとか見張ってるからさ!」
――――――――媚びる事だ。
え、助ける?バッカじゃねーの。
正義のヒーローじゃねぇし~、正義感なんてそんなに持ってねぇし~、お零れ貰う方が得するしぃ~。
世の中そんな都合良くねぇんだよクソアマァ、残念でしたぁ~。
クソアマは呆気に取られたのか抵抗する力を緩めてしまい、両手をゴリリンに拘束された。
てかゴリリン手デケェな、掌丼の表面積位あんじゃね?
「おお助かるわ。じゃあ見張りヨロシク。後で使わせてやるよ」
「まぁぁぁあ?その頃にはぁぁぁあ?ガバガバかもしれねえけどなぁ~!」
「ガハハ!そうかもしんねえなあ!おい、緩くなってても文句言うなよ」
「モチロン!寧ろそれ位が丁度良いからさ、ガンガンやっちゃってくれよぉ?」
「ガッハッハ!お前イイ性格してんなあ!」
知ってる、俺が悪い意味でイイ性格してるってことぐらいよぉ。
はてさて、見張り番でもしますかねぇ。
後が楽しみ楽しみ♪
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