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*はんぶんだけなら、ないしょは半分。
*あさって、村を抜けた宿場にオマエの探す者はいる。
*けれど残りの半分は。負ぶった分まで。ないしょ。
「おのれ!モノノケめ。どういう事なのか。
姿をみせやれ、今一度、成敗してくれる。」
*ないしょは半分教えた。後はオマエ斬り捨てた。
*ないしょは半分教えた。後はオマエ斬り捨てた。
ケーン、ケーン。
遠くに響く声が消えると、斬った赤石も消えていた。
侍は村の一軒に、宿を頼んで考えた。ないしょも何も、
約束の憶えは無いのだが、武士が狐狸妖怪ごときで、
下らぬ不安を、善良な村人に与える事はない。
翌日、民家を出る前に仇の旨を、聞いてもらって、
万が一の時はと、故郷への手紙を頼んで置いた。
主人に礼を述べたが、赤い童の話だけ、村を出るまで
黙っていた。
そのまま道を宿場町へ、昼頃までに着き次第、手頃な
宿を探すとも仇がいるとは思えず。次第に宿場は旅人で
自身も空き部屋を探したが、どこも早くに部屋が無く、
相部屋で願いますと、二階の間へ上がり挨拶をしかけて
約束どおりか。父の仇と百年目。仇も覚悟を決めては
表に出ろと声荒げ。逢魔時の宿場前、敵討ちに人の群れ。
居合いで先手と掛け声出したが、一瞬、仇との間抜けた。
小さな豆狸の影を見た。
一方、父親と同じ居合いで来ると読んでおり、必ず一の
太刀だけは何としても外させて、緩んで遅れた腰の根まで
横凪一刀両断を狙う仇は、上段片手に隠し砂を握っていた
零れ風のせいか、自分の前に赤い影が抜けた気が。
そのままずれた隙を埋め、袈裟掛け一撃、仇が地に伏す。
翌朝、役人に仇討ち免除、謄本を確認願い遺骸は無縁仏、
あの本国寺に弔われる事になった。縁のあるや無しや無常。
住職を訪ねると、本国寺は例の小さなお堂が別堂であり、
本堂は少し坂を下った離れた場所にある。大きくは無いが
古刹の空気に背筋が冷やりとした。
仇を討ち本懐を遂げた事には、住職は興味はない様子。
それは道理。殺生は殺生でしかない。故、今一つ訊ねみた、
あの赤い童の事を。ないしょは当たった。それは話さない。
ともかく、あれはこの村の童か。住職はご存知無いかと。
「小豆が好きな豆狸が、境内に住み着いてはおりましたが。
先日、坂の上にある紅葉の根元に、割れた石がありまして
赤く染まっていましたので、お堂の脇へ移してあります。」
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