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住職に礼を述べ、お堂の脇を見た。丸い赤石ころり一つ。
割れても斬れてもいない。合掌して礼をして江戸へ戻る。
仇討ちの報せに上様より褒美を頂くも、侍は脱藩を願い出、
その足で再び村に戻った時には秋であった。
剃髪し出家して住職の弟子となり、褒美の金にて祠を祀り
小豆狸大明神として生涯をそこで背負ったかは、はてさて。
ケーン、ケーン。
*ないしょ教えるから、おんぶしてくれろ。
*ないしょ教えるから、おんぶしてくれろ。
ないしょは要らぬ。おぶさってきなさ。
ないしょは要らぬ。おぶさってきなさ。
紅葉が赤く染まった夕暮れに、可愛らしい声がすら。
いまも、ないしょは内緒のままして、おくそげなばと。
命短し言わぬが華よ絵空事。ケーン、ケーン。っとな。
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