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小さな部屋に黒い服のフードを被った大人達が何かを囲んで立っていた
囲まれている女は死んでいた
「オギャーオギャー!!」
そこに1つの命が生まれた
女の子だった
「生まれてしまった…」
1人の大人が残念そうに呟いた
その赤ん坊の右胸には
薔薇の烙印が埋め込まれていた
「この子に定められた宿命なのだ」
そう呟いた黒い服の男は赤ん坊を静かに抱き締め、部屋を出ていった
コツコツ
薄暗い廊下に男の足音だけ響いた
男が辿り着いた先には
大きく分厚く黒い扉があった
「スゥスゥ」
赤ん坊は腕の中で気持ち良さそうに眠っている
「ごめんな…」
男はフードを取った
深い深い黒い瞳
後ろ高く1つに結んでいる白い髪
男は哀しそうな瞳を赤ん坊に向けていた
「シェル…
君はシェル・エプル
そう名付けよう…」
男は重い扉を開いた
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