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四
「紫月…。いつになるか解らないが…私はお前を此処から出したい」
今までの旦那様には…言われもしなかった言葉…。
「旦那様なら…わたくしは買われても構いません…」
「買うのではない。此処で限られた刻を過ごすのではなく…共に居たいのだ」
「旦那様…。旦那様は本当に変わってらっしゃいますね…」
優しいお言葉…。
そんな風に言われた事…無かった。
アタシは自然と微笑んでいた。
「私はお前の笑顔が見たいのだ…」
優しい優しい…旦那様。
そのお手も、眼差しも、お体も、お言葉も…。
全てがお優しい旦那様。
「旦那様…なんでしょう。わたくし、なんだか此処が暖かい…」
そっ…とアタシの胸に旦那様のお手を当てる。
「この暖かさ…なんでしょう…」
随分と長い事…忘れていた気がする。
何の…感情だったかしら…。
旦那様は緩やかにお笑いになって
「…もう少し、待っていてくれるか?」とお尋ねになった。
「旦那様なら…いつまでもお待ちしております…」
本当に、そう想えた…。
旦那様なら…。
此処での仕打ちも、耐えられる。そんな気がした…。
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