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宿を出てから、半時が経った。 アタシと旦那様は…夜でも綺麗に咲き誇って魅せている 桜並木を歩いていた。 「ねぇ旦那様…。此から何処へ行くのです?」 「さぁ…。何処だろうか…。私にも解らぬ」 微笑を浮かべながら、お答えになった。 「お前となら何処へでも行けそうな気がするよ…」 「…わたくしもでございます…」 旦那様のお言葉が、アタシのココロを暖かくした。 「…桜…綺麗ですね…」 アタシの言葉に、旦那様も立ち止まり、見上げた。 「あぁ…。…お前に似合うな…」 「まぁ…。そんなお戯れを」 くすりと笑いながら答えた。 然し、旦那様は真剣なお目でアタシを見つめた。 「戯れ言ではないぞ? お前は…華の様に、見事に美しい…」 「旦那様…」 「お前は枯れない華…私だけの華だ…」 余りにも嬉しくて…涙がこぼれそうだった。
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