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「紫月、また来るよ」 「旦那様…、まだ夜は長いですよ…」 旦那様はいつもお早くお帰りになる。 他の旦那様なら、まだ躰を貪られている刻…。 「私も職があるのでな…。残念だが帰らねばならぬ」 「旦那様はいつもそう仰るばかり…。 どの様なお仕事なさっていらっしゃるの?」 「それは言えぬな」 微笑を浮かべながらお答えになった。 「そんなに秘密にする様な事なのですか?」 「紫月は、その様な事気にするな」 そっとアタシの頬を撫でながら…。 アタシもにこっと笑い、「左様ですか…。ならば気に致しませぬ」と。 「それでよい…」 旦那様もふっ…と笑った。 「ではな」 「はい。またいらっしゃってね…」
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