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不思議だ。 あの様な処へ通うようになるとは。 紫月の声が…耳に心地よく残る。 そしてまた聞きたくなる…。 何かに引かれるように、またあの女郎宿へ行ってしまう。 何故だろう…。紫月の顔が見たいのだ。 「あれ旦那様。いらっしゃいまし」 「紫月を願う」 「はい、少々お待ちを…」 旦那様は毎晩の様にいらしてくれた。 そして迷わずアタシをお呼びくださる。 アタシもいつしか、死にたいなんて想わなくなっていた。
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