◆5◆

22/27

808人が本棚に入れています
本棚に追加
/1202ページ
「ところで堂野ちゃーん。 前のカレとはいつ別れたのー?」 そう言って アイプチで作りだされた綺麗な二重瞼が ひたとこちらに向けられる。 「……え」 お尻の脇に手をついて ぶらぶら足を揺らす佐々木さんに 悪意が全くないのは分かるんだけど。 現在最も触れてほしくない話題の筆頭なんですよソレ。 なんてことを口走れば余計に興味を持たれることは必至で、 あたしはぐっと口を噤んだ。 「ワイルド系のカレ。 確か夏休み頃までは バイト終わりによく待ち合わせしてたよね?」 黒いラインに縁取られた双眸は、 その唇から放たれる言葉同様に 遠慮の色は一切なくあたしに注がれている。 「え……と……」 ちらり。 と、視線を向けた先で、 かちゃん。
/1202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

808人が本棚に入れています
本棚に追加