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「ところで堂野ちゃーん。
前のカレとはいつ別れたのー?」
そう言って
アイプチで作りだされた綺麗な二重瞼が
ひたとこちらに向けられる。
「……え」
お尻の脇に手をついて
ぶらぶら足を揺らす佐々木さんに
悪意が全くないのは分かるんだけど。
現在最も触れてほしくない話題の筆頭なんですよソレ。
なんてことを口走れば余計に興味を持たれることは必至で、
あたしはぐっと口を噤んだ。
「ワイルド系のカレ。
確か夏休み頃までは
バイト終わりによく待ち合わせしてたよね?」
黒いラインに縁取られた双眸は、
その唇から放たれる言葉同様に
遠慮の色は一切なくあたしに注がれている。
「え……と……」
ちらり。
と、視線を向けた先で、
かちゃん。
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