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だけど、
そんなことはどうでもよくて――
あたしは、
那美の顔を見た瞬間に
瞼の奥がじんと痺れてきて、
ぶわりと視界が滲むのを
唇を噛んで堪えるしかできなくなっていた。
「あーあ。でも残念。時間切れだわ」
那美はふっとため息を吐いて
佐々木さんから顔を背けるように俯くあたしに歩み寄ると、
ロッカーから制服の掛かったハンガーを抜き取って
少し乱暴な動作でそれを突きつけてきた。
「早く着替えなきゃ遅刻しちゃうよ」
「う……ん」
「佐々木さん。衣舞を待ってたらギリになっちゃいますよ。
私たちは先にフロアに入ってましょー」
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