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『だったらパパもお星さまになったの?』
『そうだよ。だからね。
この雨があがったらお空を見てごらん。
お星さまになったパパがきっと
衣舞ちゃんのこと見守ってくれているよ』
当時小学1年生だったあたしは
きっと一番大きなお星さまがパパかもしれない。
そう思ってわくわくしながら雨が上がるのを待ちわびた。
だけど、
雨上がりの澄んだ夜空は
まるで宝石箱をひっくり返したみたいにたくさんの星が輝いていて、
あたしはパパを見つけることが出来なかったの。
だからね。
パパは月に行ったんだって思うことにしたんだ。
だって月の近くにはたくさんの星があって
きっとそのどれかがパパだから。
物理学的に考えても――
なぁんて面倒な言葉を使うまでもなく
人間が星になれる訳がないってことはもう知ってるけど。
今でもあたしは綺麗な月を見ると
パパを思いだしたりするんだ。
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